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外食産業の市場規模をチェックしよう!

外食産業の市場規模をチェックしよう!

外食産業は、どれくらいの市場規模がある分野なのでしょうか。将来、自分のお店を持ちたいけれど、外食産業の将来性が気になって……という方もいるかもしれません。

遠い未来のことは誰にもわからないことかもしれませんが、今と昔を比較し、少し先の未来ならある程度は予測できるのではないでしょうか。

今回は、「外食産業の市場規模」という、一見すると難しそうなテーマについて、少しだけ考えてみたいと思います。

外食産業の“今”、市場規模を確認しよう!

いきなりですが、外食産業にはどの程度の市場規模があると思いますか?2000億円でしょうか?それとも、2500億円でしょうか?

どちらも違います。日本フードサービス協会による統計調査では、平成28年度の外食産業の市場規模は、前年比よりも0.1%増加し、25兆4169億円に到達したと報告されています。

25兆円とは、一体どれくらいの規模なのか、なかなか想像できませんが、例えば日本の国家予算はおよそ170兆円、お隣の国、韓国の国家予算は30兆円くらいなので、日本の国家予算のおよの1/7、韓国の国家予算よりもやや少ないくらいの規模に匹敵します。すごく大きな規模の産業だと思いませんか?

しかし、外食産業は今、非常に大きな市場規模ではあるものの、実は10年前と比較すると、減少傾向にあるといわれています。なぜでしょうか。

これにはいくつかの要因が考えられますが、代表的なものとしては、次のようなことがあるでしょう。

  • 少子高齢化による食需要の減少
  • 低価格化による競争の激化
  • スーパーやコンビニによる中食市場の拡大

どの要因もいわれてみると、「確かに、そうだな。」と納得するものばかりだと思います。それでは、上記の要因から、外食産業の市場規模における課題を考えてみます。

外食産業の市場規模から見えてくる課題

まずは、少子高齢化による食需要の減少です。

日本は、人口そのものも減少傾向にありますが、子供が減り、高齢者が増えることで、「食べる人」が減ってきています。例えば、10代や20代の頃はたくさん食べていた人も、高齢者になると1回の食事の量が減りますよね。たくさん食べる育ち盛りの子供が減れば、単純に「消費される食事の量」が減るわけです。

次に、今の外食産業が受けている、社会環境の変化による大きな影響です。例えば、スマートフォンの普及によってだれもがインターネットを利用できるようになったことで、顧客の交渉力が増加しました。また、長引く不景気の影響もあって、「同じ味なら安い食事」を好む人が増えました。その結果、消費者の節約志向が強まり、外食産業は、商品の値段を下げざるをえなくなりました。下げなければ、お客さんが来ないのです。他にも、専門業態店舗の増加や、人件費や原材料費が上昇し、これが外食産業の競争に加勢することで、全体的な売り上げや損益に大きな影響を与えるようになりました。

また、コンビニやスーパーで「レストランと同じ味」の食品が売られるようになり、わざわざ店に行かなくても、手軽においしい食事がとれるようになりました。これも「外食しない理由」の一つといえます。さらに、テイクアウトやデリバリーといった中食も好調とのこと。「外で食べるよりも、手軽に家でおいしいものを食べたい」という風潮があるのかもしれません。

外食産業の市場規模から再考すべき方向性

ところで、調理師免許を取得し、外食産業に参入した場合、1年以内に閉店する割合をご存知ですか?将来、自分のお店をオープンしたいと考える人(私もですが)にとっては、ぜひ知っておきたい数値ではないでしょうか。

これについてある講師の方に質問したところ「およそ35%」という回答を頂きました。これは、外食産業を目指す人にとって、非常に厳しい現実です。でも裏を変えせば、65%は閉店していく中で、35%は成功していることになります。この違いはどこにあるのでしょうか。

ここで、外食産業を生き抜くうえでのポイントを考えてみましょう。大切なことはいくつかありますが、もっとも重要なのは、商品(この場合は料理)に価格以上の価値があることです。価格の安さだけで勝負すれば、間違いなく大型の飲食店(チェーン店を含む)には勝てません。しかし、お客さまに寄り添い、自分にしか作れない味、自分にしかできない食事を提供できれば、遠方からも来店してもらえる可能性が出てきますし、地元の方にも喜んでもらえる店にできるでしょう。65%の中に入ることも、夢ではないかもしれません。

また、訪日外国人が増加しつつあるため、さまざまな国の人たちが楽しめる環境作りや、Instagramやツイッターなどのソーシャルメディアで話題となる料理を提供することも必要です。近い将来には、もっと違った形での情報の拡散や宣伝ができるかもしれません。

少子高齢化の波を止めることは、個人がどうにかできる問題ではありませんが、少なくとも「自分の店を繁盛させる努力」は、できるのではないでしょうか。そのためにも、料理人としてのウデを磨き、多くの人に喜んでもらえる料理、多くの人を幸せにできる料理が作れる料理人を、目指したいと考えています。

お役立ち知識 調理師科(1年制)

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