みなさんは、テレビや雑誌で活躍の場を広げつつある「料理研究家」と呼ばれる職業をご存知でしょうか。将来、料理のトータルプロデュースやキッチンスタジオでの料理指導を担当し、仕事の幅を少しずつ広げていきたい方に、お薦めの仕事です。料理研究家として評価されるようになると、料理を作るプレーヤーとして働きながら、経営者として料理界に携わることができます。
今回は、料理研究家は、どのような仕事をしているのか、基本的な1日の働き方や将来性、独立に向けたアプローチの仕方についてお伝えします。
目次
料理研究家は、調理法や料理レシピについて研究・考案し、メディアを通じて情報発信をしていくことが主な仕事です。自分でキッチンスタジオを構えて個人事業主として独立することが多く、調理師のように日本料理店やホテル、レストランなどに勤務して働くことは少ないです。
調理師は、お客さまに料理をふるまうことを主な仕事としていますが、料理研究家は、アシスタントを自分で雇い経営者として働くことがあります。ここでは、料理研究家の仕事について順を追ってご説明します。
料理研究家の主な仕事内容は、テレビや料理本、雑誌で、自分が料理について研究し、創作したレシピを情報発信していくことです。料理研究家の情報発信の場は、紙面に限らず、キッチンスタジオなどを用いて料理教室を開催したり、料理店を開業したオーナーに対して、メニュー作りをアドバイスすることもあります。
また、料理界での評価が高まるにつれて、有名料理番組に出演し、人気タレントとして料理コーナーやレシピの連載を担当することもあります。そのため、料理人として、レシピの作り方をわかりやすく伝える技術も大切ですが、家庭で再現できる料理を考案する能力の高さが求められます。
料理研究家は、基本的にフリーで仕事を受注し、プロジェクトを進めていきます。そのため、1日のスタートは、プロジェクトの進め方で大きく異なります。例えば料理本に掲載する撮影であれば、明るい午前中に仕事がスタートすることが多いです。
アシスタントがいない状況では、自分ですべての機材や料理を準備し、仕事を進めることになります。そのため、片付けの時間を考えれば、かなりの時間を要します。逆に、現場での撮影のない日は、新作レシピを考案し、試作していることもあるようです。
近年、ブログやSNSなどの普及により、オリジナルレシピを気軽に公開できるようになった結果、料理研究家の注目度は、非常に高まっています。専業主婦がブログへ作った料理画像をアップしていたところ、人気ブロガーになり、料理研究家としてのキャリアがスタートしたという事例もあります。
一見すれば、華やかな仕事ではあるものの、個人事業主として独立した結果、厳しい状況に立たされることもあります。しかし、料理研究家として人気が出て、メディアでの活躍の場が増えれば、食ブームの仕掛け人としての地位を築くこともできるかもしれません。
なお、2020年に東京オリンピック開催が予定されていることから、訪日外国人向けの料理需要が増しており、料理研究家のレシピの考案力が求められています。料理研究家として、訪日外国人が楽しめる料理を考案し、食事環境を整備できる能力を高めれば、さまざまな飲食店からなどからも、仕事の依頼が入るようになるでしょう。
料理研究家の仕事は、料理レシピを考案し、テレビや雑誌、ブログ、SNSなどを利用して情報発信することで、食を通して人を笑顔にすることです。しかし、料理研究家になるには、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、料理研究家になるためのアプローチの仕方や主な収入源、どのような人が向いているのか詳しくご説明します。
現在、料理研究家には、栄養士や飲食店オーナー、専業主婦などさまざまな経歴をもった人たちが働いています。そのため、料理研究家になるために、必須の資格というものはありません。今日から料理研究家であることを宣言してしまえば、誰でもなることができます。
しかし、料理研究家として働くには、食や栄養に対する専門的な知識や、高度な調理技術を習得しておく必要があります。実際には、下記のような方法で料理について勉強している方が多いようです。
料理研究家になるまでのアプローチの仕方は、人によってさまざまですが、これらの中でも、料理について専門的に学べる専門学校や大学に入学すれば、栄養学や食品学はもちろん、鍋の使い方や包丁の握り方、料理の盛り付け方、テーブルマナーまで学べるため、料理研究家になるまでの道のりを、スムーズに進むことができるでしょう。
料理研究家の主な収入源は、どのような働き方をするかによって、大きく異なります。例えば新作レシピの考案が得意な料理研究家は、料理本の執筆や、雑誌への寄稿を数多く行うことで、それが販売されたら売上額の約10%を印税として受け取ることができる等です。
一方で、料理番組やテレビCMで活躍する料理研究家は、テレビへの出演料や契約料を収入として受け取ります。他にも、調理器具をプロデュースし事業展開することで大きく収入を伸ばし、自分のキッチンスタジオで料理教室を開催することで、生徒数に応じて収入を増やす人もいます。このように、料理研究家として知名度や人気度によって、仕事の幅や収入が大きく変わります。
新作レシピの開発料の相場が1レシピあたり3万円と仮定すると、平均月収は数万円~数十万円、平均年収は数十万円~数百万円まで幅広い数字となるでしょう。オリジナルのレシピ本がベストセラーになれば、より大きな収入につながる可能性もあります。
料理研究家は、食べることが好きであることはもちろん、自分の頭でレシピを組み立て、作り、世の中に発信する日々を楽しめる人が向いているでしょう。新作レシピ作りに、答えはありません。自分で創作したレシピに対して、満足することなく、自分の腕を磨き続ける根気や姿勢が大切です。
また、料理を美しく盛り付けるセンスや、自分で創作した料理をPRする能力も求められます。また、キッチンスタジオで教理教室を開催するのであれば、「先生のもとで料理を学びたい!」と、教室の生徒から憧れの対象となるようなカリスマ性も、持ち合わせていると良いのではないでしょうか。
常に、他の料理研究家が考えないような新しいアイデアを生み出し、既存の概念にとらわれることなく、社会的なニーズとマッチングした柔軟な発想力の持ち主なら、料理研究家に向いているのではないでしょうか。
料理研究家になるために学歴や資格は必要ありませんが、栄養士や調理師などの国家資格を取得しておくと実力を証明できるため、人から信頼を得やすくなります。例えば調理師の資格は、都道府県知事が指定した調理師養成学校施設に入学し、1年以上必要な知識および技能を習得し、卒業すれば、100%取得できます。
また、管理栄養士を養成する学校(大学、専門学校)や、食に対して専門的な知識をアピールできるフードコーディネーターなどの試験対策に積極的な学校もありますので、どのような国家資格や民間資格を取得しておきたいかを考えて、学校選びをすると良いでしょう。
調理師専門学校の場合は、就学期間が短期間ではあるものの、栄養学や食品衛生、調理理論、調理技術の全体像を体系的に学べます。調理師や栄養士など、資格や免許の取得にとどまることなく、高度な資格取得のサポートを徹底的に実施している学校も増えているので、学校選びの参考にしてください。
料理研究家になるまでの道のりに正解はありません。とはいえ、食の資格取得を通して、調理に関する知識や技術を備えておくことに越したことはありません。その際、料理研究家と関係のある資格は、下記の通りです。
それぞれがどのような関連性をもっているのか順を追ってご説明します。
栄養士(国家資格)は、栄養学に基づき、身体にとって栄養バランスのとれたメニューへと改善し、具体的な調理方法の指導や栄養面からのアドバイスをおこないます。尚、名称独占の関係上、資格を保有していない人は、栄養士と名乗ることはできません。
都道府県知事の免許を受けることで、はじめて栄養士と名乗れます。栄養士の資格があれば、医療施設や介護保険施設、老人福祉施設、児童福祉施設などのレシピの作成や現場での栄養指導に従事できます。料理研究家は、常にレシピを考案するため、栄養学に対する専門的な知識が必ず役に立つでしょう。
管理栄養士は、厚生労働大臣の免許を受けることで証明できる国家資格です。健康な人を対象に仕事をするだけではなく、病気を患っている人を対象に専門的な知識や技術を生かして給食管理や栄養指導、栄養管理をおこないます。
栄養士は、栄養士養成施設を卒業すれば、都道府県知事の免許を受けることで取得できますが、管理栄養士は、管理栄養士養成施設へ入学し、管理栄養士国家試験に合格しなければいけません。その後、厚生労働大臣から管理栄養士の資格が与えられて、はじめて名乗ることができます。
他にも、栄養士の免許取得後、現場で一定期間にわたって働き、管理栄養士国家試験に合格すれば管理栄養士になることもできます。医療現場では、医師や看護師、薬剤師などと協力して働きます。専門職として高度な知識や技術が料理研究家の仕事の可能性を広げてくれるでしょう。
フードコーディネーターの資格を通して学ぶことと料理研究家の仕事は、非常に密接しています。なぜなら、フードコーディネーターは、食の開発や演出、運営をフルコーディネートするクリエイターだからです。
食品メニューや小売業のプライベート商品の開発、食の新サービス開発、顧客開拓、店舗デザインに至るまで、ありとあらゆることを担当します。他にも、テレビや雑誌を意識した盛り付けや料理をおいしく見せるための小物や食器の演出をおこないます。
フードコーディネーターの資格があれば、食をスタイリングする以外にも、市場開発や店舗プロデュースなどの仕事の可能性が広がるため、自然と料理研究家としての道も開かれていきます。
調理師とは、都道府県知事から免許を受けた者で、調理師の名称を用いて調理業務に従事する資格を保有する者を指しています。調理師免許を取得していれば、食品の栄養や衛生、調理法に対して専門的な知識をもち、安全な料理が作れるプロとして、知識や経験を証明できます。
今後、料理研究家として飲食店をプロデュースする際、調理師免許を取得していれば、お店のオープンに必要な食品衛生責任者の資格を申請するだけで取得できます。
そのため、自分のお店をオープンしたり、料理教室を開いて、料理指導を実施するなどの夢が一気に近づきます。
他にも、調理師免許があれば、フードコーディネーター3級試験の4科目のうち2科目が免除されるため、料理研究家としてのキャリアを広げやすいといえるでしょう。
料理研究家は、料理を作り、提供する料理人ではなく、料理レシピを考案し、人々に広めることを生業としています。そのため、仕事のメインはあくまでも料理レシピの考案や研究です。しかし、次々と、新しいレシピを考案するには、調理に関する基本的な知識や技術を習得しておく必要があります。
その際、調理師として基本的な知識や食品と健康の関わり方、鍋の使い方、包丁の使い方を学んでいれば、さまざまな料理を発案しやすくなります。
料理理論や食文化、日本料理、西洋料理を中心に講義を受けることで、少しずつ料理の仕上がりを意識して調理できる技術が身につきます。調理師免許の取得で身に付いた料理の盛り付けの技術や丁寧な所作は、料理研究家になるうえで大切な知識や技術となります。
料理研究家に興味がある方は、研究家としての土台を築く方法の1つとして、ぜひ京都調理師専門学校で学ぶことを検討してみてくださいね。