年越しそばの由来は?食べるタイミングは?
2018年12月15日
日本では、大晦日に年越しそばを食べる、という伝統的な風習が受け継がれていますが、いつ食べるのが正解なのか、そのタイミングについてご存知ですか?日本の伝統的な風習でありながら、いざ聞かれると答えられない方が多いのではないでしょうか。
今回は、1年を締めくくる年越しそばの由来や、食べるタイミング、簡単な作り方についてお伝えします。
年越しそばを食べる由来は?
年越しそばは、なぜ縁起物として定着したのでしょうか?昔、江戸の商家には、毎月最後の日(30日)に三十日蕎麦(みそかそば)を食べる習慣がありました。月末は、後払いのお金を集金し、棚卸の作業があるため忙しくなりがちです。
そこで、仕事終わりに奉公人に対して、主人がそばをふるまっていました。その習慣が庶民の間でも広まり、お正月の準備が終わった大晦日に年越しそばを食べるようになったのです。
他にも、そばの実は、非常に栄養価が高く、脚気(かっけ)という病気に苦しむ人たちに効いたことも、年越しそばが定着した理由のひとつであるという説があります。また、そばには、下記のようなご利益があるとされています。
- ◆健康的に生きられる。
- ◆お金を集める。
- ◆長寿になれる。
- ◆体にたまった毒を取り除く。
江戸の人々にはこのように縁起を担ぐことを好む気風がありました。日本人の心としてその気風を受け継いできため、年越しそばは現代まで続く風習として世の中に浸透していったのです。
年越しそばは、いつ食べるの?そのタイミングについて
年越しそばは、大晦日に食べていますが、いつ食べることが正しいとされているのでしょうか?結論から申し上げると、年越しそばは、いつ食べても問題ありません。なぜなら、何時に食べるべきかは、正式には決まっていないからです。そのため、大晦日のスケジュール等を考慮しながら、自分の好きなタイミングで食べればよいということです。
しかし、年越しそばというものは、本来、大晦日に食べる縁起物として生まれたものですので、年をまたいで食べるのは縁起が良くないとされています。年内に食べ終われるよう、日付の変わるギリギリに食べることは避けた方が良いのかもしれません。
年越しそばの簡単な作り方
そばは、昔から麺の形をしていたわけではありません。初めは、そばの実からそばがらを取り、かゆや飯のように炊いて食べていました。やがて、粉をひくための石臼が広く普及すると、そば団子やそばがきなどが料理人たちによって作られるようになり、調理の幅が一気に広がりました。
そして、私たちが現在食べているような麺のそばは、江戸時代に入ってから流行し、人々の間で食べられるようになりました。
年越しそばは、茹でたそばと紅白のかまぼこ、青ネギ、そばつゆがあれば、5分で簡単に作れます。まずは、お鍋に、そばつゆを沸かして、茹でたそばを入れます。あまり沸かしすぎると、麺が柔らかくなってしまうので、注意しながら温めていきます。
充分に温まったら、器に盛り青ネギや紅白のかまぼこをトッピングすれば、おいしい年越しそばの完成です。そばつゆではなく、かつお節や昆布からだしを取るのもお勧めです。
羅臼(らうす)昆布は、すごく香りが良く、良質なダシがでます。私は、たまたま羅臼昆布があったのでダシに使ったところ、すごくおいしい年越しそばができました。
京都調理師専門学校では、だしの取り方も基礎から学んでいます。例えば、だしに使う昆布には、羅臼昆布以外にも、真昆布、利尻昆布、日高昆布などがあり、それぞれ味の違いがあることを先生から教えてもらいました。
美味しいだしは和食の基本となるものです。年越しそばひとつでも、だしの取り方でずいぶん味も変わってくると思います。
皆さんも、今年の大晦日は美味しい年越しそばを食べながら、そのご利益や由来に思いを馳せてはいかがでしょうか。