和食には、どんな定義があるの?
2018年12月29日
外食をするときや、家でご飯を食べる時、「これって、何料理なのかな?和食?洋食?」と、気になることはありませんか?ご飯と味噌汁があれば、とりあえずは和食に見えるかもしれません。でも、おかずはどうでしょうか。焼き魚は和食だけど、目玉焼きは和食ではないような……。一体、どのような基準で「和食」だと判断すれば良いのでしょうか。
今回は、和食の定義と、その食文化を支える料理観や盛りつけについてお伝えします。
和食の定義とは?
和食という言葉は、非常に漠然としています。極めて簡単に説明するならば、日本料理の総称のことだといえるでしょう。和食の定義は、料理人によって考え方が異なりますが、山や海、里など日本の自然からの食材を、日本の伝統的な調理技術を用いて調理し盛りつけたものなら、和食といえるのではないでしょうか。
和食の定義は、単なる料理としてのジャンルではなく、食文化も含めたものとなります。
日本人は、豊かな国土を敬い、共に生きることで、独自の食文化を築き上げてきました。食文化は、民族の年中行事と密接に関わっており、人はお互いに食を分け合うことで時間を共有し、家族や地元住民との絆を深めた、という歴史があります。
その食文化は、海外からも高く評価されており、和食は2013年12月4日にユネスコ無形文化遺産に登録されました。和食の食文化は、先代の料理人が築き上げてきた大切な文化です。つまり和食の定義は、その食文化にあるといえるでしょう。
和食の定義を支える料理観
和食の定義を紐解いていくと、そこには独特の料理観があります。和食の料理観とは、主に下記の4つのことです。
- ◆歳時記(さいじき)を料理に取り込んでいること。
- ◆食材の旬を大切にしていること。
- ◆初物や走り、名残(なごり)とよばれる食材を大切にしていること。
- ◆食材本来の持ち味を大切にすること。
歳時記とはもともと、習慣や季節を書き留めたもののことです。例えば、和菓子は歳時記に記された季節を形で表現しています。春は桜などの花をイメージしたもの、夏は涼しさを演出するような水っぽさを表現したもの、秋は紅葉や菊などの自然をモチーフにしたもの、冬は正月飾りなどをモチーフにしたものなど、季節感あふれる和菓子を目にすることは多いのではないでしょうか。
なお、器に紅葉などの季節のものを装飾するのは、歳時記の季節感を取り入れた結果であることがわかります。
そして、和食は、食材の旬や初物、走り、名残などの風情を軸に、季節感を演出します。その際、調味料は、必要最低限しか使用しません。もしくは、食材の味を最大限まで感じるため、調味料を付けずに素材の味を楽しむこともあります。
和食の定義を支える盛りつけ
和食の定義を支える要素として、料理観以外にも盛りつけの要素があります。例えば、和食の盛りつけには、下記の7つのこだわりがあります。
- ◆空間を活かす。
- ◆立体的に表現する。
- ◆左右を非対称に表現する。
- ◆陽数(奇数)を尊重する。
- ◆五色を活かす。
- ◆掻敷(かいしき)を使用する。
- ◆器や切り方に陰陽を取り込む。
このように、和食の盛りつけには、実に様々なルールがあります。例えば、和食の盛りつけの考え方として、「五三に盛る」という表現があります。これは、空間が5割に対して、盛りつけを3割にするという意味で、空間を活かすことを目的とした言葉です。
他にも、立体感や左右非対称などのバランス感など、すべてにこだわりが感じられます。なお、和食は、七・五・三などの奇数で盛りつけることが基本となっています。
上記の掻敷(かいしき)とは、器の上に飾られている料理の添え物や葉っぱ、紙の飾りを意味します。他にも、和食は、器や切り方に陰陽を取り込んでいます。この陰という言葉は、四角い形の器に丸い形の料理を盛りつけることを意味します。一方で陽には、四角い形の料理を盛りつけます。これにより、安定感のあるバランスの良い盛りつけができます。
このように、和食の定義は、一言で言い表せないほど、非常に奥が深いです。もし、和食料理と真正面から向き合い、優れた調理技術を習得し日本料理人として働きたいのなら、京都調理師専門学校に入学してください。和食の本場ともいえる京都で、和食について学び、一緒に腕を磨いてみませんか?