みなさんは、食材の旬をご存知でしょうか?
食材を最も美味しく食べることができる時期という意味が一般的であり、みなさんが食材を買う際にも気にしているポイントだと思います。
この食材の旬ですが、私たちの日本料理と大きな関係を持っています。
さらに旬という言葉は、実は多くの意味と種類を持っています。
今回は、日本料理に欠かせない「旬」という言葉と、その意味について学んでみましょう。
旬という言葉を聞いて、みなさんどんな意味を思い浮かべるでしょうか?
実は旬という言葉は、多くの意味を含む言葉なのです。
まず一般的に思い浮かべるのは、食材の最も美味しい時期という意味でしょう。
春ならば山菜、夏ならばきゅうりやトマトなどの夏野菜、
秋であれば栗やサツマイモ、冬は白菜や大根といった感じです。
また旬という言葉は、食材の収穫時期を意味することもあります。
この場合、食材の最も美味しい時期と収穫時期は一致しないことがありますので注意が必要です。
さらに、食材が市場に出始める時期という意味も、旬という言葉には含まれています。
市場に出始めた食材は希少価値が高く、その価値の高さから旬という言葉を使うことがあります。
日本では「初物を食べると75日寿命が伸びる」などと言われることがあり、
市場に出会始める初物を貴重な食材としています。
この初物は、その貴重さから食材の本来の収穫時期よりも高価になる傾向があります。
日本料理では、初物をお出しすることに強いこだわりを持っています。
初物をお出しすることで、新しい季節の訪れをお客様に感じさせることができます。
四季の移り変わりを料理に盛り込む日本料理にとって、初物を扱うことは大変重要なことなのです。
先ほどは、旬という言葉に含まれる様々な意味をご紹介いたしました。
次に、旬という言葉の種類をご紹介いたします。
旬の時期をさらに細かく分けますと、3つの時期に分けることができます。
それが、旬の「はしり」、「さかり」、「なごり」という言葉です
旬の「はしり」とは、食材の出始めの時期を意味します。
先ほど説明した旬という言葉の意味でもありましたとおり、旬の「はしり」は食材の初物のことを指します。
旬の「さかり」とは、食材が食べ頃となる時期。または、市場に多く出回って手に入りやすくなり、
初物と比べて値段も安くなった時期のことです。
この旬の「さかり」では、食べごろの美味しい食材を気軽に楽しむことができます。
旬の「なごり」とは、旬が過ぎて終わりを迎える頃の時期のことです。
過行く季節に思いを馳せながら、新しい季節への出会いを待つことで、
「なごり」をより一層楽しむことができます。
ここで一つご注意しておきますと、「はしり」、「さかり」、「なごり」に優劣はありません。
全ての食材が、「さかり」の時期こそ一番美味しいという訳ではないのです。
旬の「はしり」、「さかり」、「なごり」では、一つの食材で味・食感が変化していきます。
その変化を楽しむことこそ、日本料理の大切な感性なのです。
日本料理は、四季を料理に反映させます。
そして料理を通し、四季の変化や季節の出会いと別れを表現します。
食材一つをとっても、その食材の変化を見い出し、さらにその変化をも楽しむ日本の食文化は、
とてもレベルの高いものであることがわかります。
みなさんも、食材を選ぶ際や外食を楽しむ際には、旬の食材から料理を考えてみると、
きっとさらに楽しみ方が増えると思います。
是非、季節の雰囲気と味わいを旬の食材で感じてみてください。